地に足つけているつもりで

ライブと旅行と偶像崇拝

原因は自分にある。を「色聴」 で楽しむ話 2020.03〜10

 

 

 

 

 

 

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「原因は自分にある。」

2020年、なんとも味わい深いおもしろいボーイズグループに出逢えました。バンドのようなボカロのような曲調に、アイロニー且つすぐには理解しがたい複雑な歌詞。そんな曲に合わせて顔の良いあどけなさが残る若い男の子たちが踊る。新曲が出ると、ゲンジブが織り成す世界観のおもしろさに唸らされる日々です。御宅人生充実感謝。

 

私は曲を聴いているときに感情が昂ると"色"が見えることがあります。ググってみたら「色聴」という共感覚の一種みたいです。私の場合「あ、これは真っ赤」とストレートな表現から「少し濃くて濁ったようなネイビーみたいなかんじっぽい」という曖昧なイメージまで。とても感覚的なもので、素晴らしい音楽や景色と出逢って生きる喜びを感じたときに得られる「私は今モーレツに感動しています」という自分だけの証明書だと思っています。Q.E.D.

ゲンジブの曲を聴いているとその"色"を感じることがとても多い。"色"が見えるたびに自分が如何にゲンジブに惹かれているのかを実感し、心が躍ります。作品として楽曲が良質だからだろうな。この記事はなぜその色を感じたのかを自己分析してちょっとした理屈っぽい解説をつけ、曲やパフォーマンスの好きなところを文章にしたものです。まずは2020年3月から年内までに音源公開された曲から。

※色や音楽の知識に関しては趣味の範囲内であり、専門的ではなく、間違っている可能性もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽かな夜の夢→ミッドナイトブルー

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「濃い青、いや青というよりほとんど黒で青みがかってる」と思いながら色見本のサイトを開いたら見つけました。まさしく、な色ですミッドナイトブルー。真夜中の空の色。この曲に関してはぼんやりしたイメージしか浮かばず、見本に頼りました。

 

突然ですがなぜ「幽か」なんだろう、同じ読みだから「微か」でもいいんじゃない?と思って調べました。

「微か」はそのものがわずかながら感じられたり、ぼんやり感じる時に使用。

「幽か」は光、色、音、あるいはそのものの存在が今にも消えてしまいそうだと感じられる時に使用。

この意味の違いからいうとこの歌は"見えにくい"ではなく"消えかけている"ストーリーということ。言われてみれば「幽か」の方がより一層儚さを感じる表現です。

そしてこの歌、全員で歌唱していることを考えると光咲くんの歌割りが今まででいちばん多いと思います。歌い始め、サビのラストフレーズ、落ちサビ、歌い終わりが光咲くん。ドラマチックなインストだから余計彼の歌声の印象が強くなります。イメージの話になりますが、私の中で光咲くんの歌声イメージは「」なんですよね。光咲くんの歌声って、発声の特徴なのかもしれないけど出し方は結構力が入っているように聴こえる。でも、スッ…と声が抜けていく感じがするんです。特に高音のとき。確かであり不確かでもある声。そんなイメージなんです。そんな彼だからこの曲を、より"消えかけそうな"世界観にできたのかなぁと、感じました。

 

ところで今までのげんじぶの楽曲って、哲学的な歌詞に、ピアノを中心にたくさんの音で構成されたインストで、いわゆる"説明的"で型にはまったような歌が目立ちます。そして王道アイドルらしい可愛らしい曲(ジュトゥブ、ラベンダー、時速3km等)。楽曲のジャンルがざっくりと二極化していると思うんです。でも、幽かな夜の夢はメロディの抑揚が強くて、音程の高低差もあり、リリックに恋する人への切羽詰まった感情が表れています。こんな"直情的"な歌は初めてなんじゃないかと思うくらい。音楽性も勿論のこと、理性的であり理屈っぽいところに面白さを感じてファンになった私ですが、やっぱりエモーショナルなものには弱い。この曲、1thアルバム「多世界解釈」の中では今のところいちばん好きな曲です。

 

余談ですが、別の界隈でオタクしていたときからリリックビデオめちゃくちゃ好きなんですよね。特に歌詞が動いているタイプの。音楽の暴力ってかんじで目と脳が喜んでいるのが分かります(…)。視覚情報ってどうしても印象としてインプットされてしまうから、彼らのルックスを見せずにメロディとリリックと歌声で直球勝負してくるげんじぶの姿勢、ものすごく好きです。でもせっかくだからMV作ってくれてもいいんだゾ!!(強欲)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

In the nude→ワインレッド

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完全にティザーに引っ張られた。お酒がよく合いそうな曲、ということでワインレッドが見えました。私、ほろよいで寝込む下戸だけど。

ティザーのイントロのオシャレ感にこれは好きなやつだと確信した新曲いんざぬーど。すごいジャズ、めっちゃジャズ。攻めたなぁという感想。でもゲンジブなら何でもありなところある。ここまでジャジーな曲を持つアイドル他に知りません。

 

初披露された仮想げんじぶ空間case2のアーカイブを何度も見返した感想を少し。マイクスタンドやソファチェアやテーブルなど小道具を活用し、派手なカメラワークの臨場感ある演出がすごくおもしろかった。配信ライブじゃなきゃできない魅せ方で何度見てもワクワクさせられました。カメラさんと息を合わせて綿密に練習したんだろうな。そして大抵1曲につき1つは好きなコレオが見つかる私、いんざぬーどはサビの「フレッシュなフルーツ味見したりタリラリラーララーララーララーララー」が好きでした…。足閉じて手を大きく広げる振りはもれなく好きです。左右にステップしながら肩も上がる長野凌大くんは特に好きです。

歌の面では推し贔屓*1かもしれませんが、杢代くんのエアリーボイスがムーディーなこの曲にマッチするし、要人くんの低音ボイスがこの曲にさらに深みを出して大人っぽく仕上げているなぁと思いました。要人くんの歌割りが多くて本当にありがとうございます。他のメンバーよりも下ハモリが多く今まではダイレクトに歌声を聴ける機会が歌割りに対して少なめだったので、すごく嬉しかった。彼が歌うたびに脳が刺激されて肌ツヤが良くなる気がします。そういえば1サビ前のパートをよく聞いてみると「陽が落ちたらタイムリミッUh-huh(アーハン)アーハン?アーハン?!! 随分アメリカンなフェイク。最高だよ、かなめ。いいぞもっとやれ。

息つく暇もなく繰り出されるラップ調のリリックはよく分からないところも多いけど(歌詞見て初めて知る歌い回しの数々)、歌い方がお洒落。空人くんのエッジな歌い方がイイ。ブラスバンドとピアノが目立つジャズ強めの曲にはこれくらい癖が強いほうが映えるのかもと思ったり。特に2サビ前の「〜抜け出せないtrick」の日本語と英単語の歌い分けが堪りません。個人的に空人くんラップとそうでないときで歌い方が変わるイメージがあり、この曲ではその違いがよくわかるなぁと。前述の通りラップは癖強め、サビではピアノが休みなく鳴るインストに負けないまっすぐ届く歌声がその歌い分けだと感じています。スピ恋のレコーディングでラップの歌い方を2通り用意してきた彼*2なら意図的にやりそうだし、ディレクターさんとの話し合いによるものなら是非その様子を見たいものです。

 

とりあえず感じたことをざっと書き出してみましたが、表現の奥が深そうなこの曲、まだまだ新しい発見がありそうです。この曲がどういった扱いになるのかはまだ分かりませんが、こういうテイストの曲はオタク大好きなので是非とも今後のライブで効果的に使ってほしい。待っています。オリジナルクリティカルでワッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェイクスピアに学ぶ恋愛定理ミントグリーン

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やわらかくて明るい緑。若々しい色合いが、劇作家を引き合いに出して「恋愛」を歌う無垢な彼らそのもののようなイメージです。キーが高めで爽やかなメロディも初夏〜夏らしい。ジャケ写では女性のワンピースの青が目立つにもかかわらずミントグリーンが出てきたのは、伸びしろ十分なゲンジブが生まれたばかりの新芽に掛かっているのかなぁと推測しています(自分の感覚に考察が入るという謎)。

 

ところでこの曲、タイトルにシェイクスピアが入っているだけあって歌詞にシェイクスピア作品に関連する言葉がたくさん含まれています。例えば作品名では「から騒ぎ」「夏の夜の夢(≒恋の夜は真昼)」「お気に召すまま」。私が把握していないだけで他にもあるかもしれませんが…。また、シェイクスピアは悲劇と喜劇の2大ジャンルがとても有名で、杢代くん空人くんが歌う2番Aメロの歌詞を縦読みすると「悲劇と喜劇」が浮かび上がるという遊び心も。

そしてリリックとして何度も出てくる「To be or not to be:That is the question」は4大悲劇のハムレットの有名なセリフです。このセリフ、翻訳がとても難しいらしく、様々な解釈があります。「生きるか死ぬか、それが問題だ」「生きるべきか死ぬべきか〜」「このままでいいのかいけないのか〜」等々。

じゃあこの曲では何が問題なのか。個人的には"シェイクスピアに学んだ恋愛"は、恋愛は成就するかしないか、つまり悲劇になるか喜劇になるかに尽きるってことだと解釈しています。想いが届いて結ばれることが恋愛のミソ、それは当たり前のようなことですが、そこから生まれる駆け引きが恋愛をおもしろくさせる。ロミオとジュリエットは2人揃って愛する人を思って死を選ぶし、夏の夜の夢は妖精の惚れ薬でごちゃ混ぜカップルが完成してややこしい事になるし。

で、「To be or not to beのKiss 不確かな恋の証明をリアルタイムでQ.E.D.」は「悲劇になるか喜劇になるか分からないからKissしてみよう…ほら、答えが出た。証明終了」ってことだと思うんですよね。手が早い。その手っ取り早さは少女漫画のヒーローに許された"勝手に接吻"そのものです。積極的だな!ったくもう!

 

先日公開されたMVは、ジャケ写の爽やかさとはかけ離れた深みのある色合いが印象的でした。また、陰影がはっきりしていてメンバーの顔パーツや体そのものが立体的に見えるところから、シェイクスピアが活躍したルネッサンス期の絵画の特徴である写実性を感じます。特に入りの凌大くん!予想外に写実的で艶っぽくて一気に引き込まれました。もし時代背景まで狙ってあの映像にしていたのなら、制作陣には頭が上がらない…。サウンドから映像まですっかり魅了されてしまったオタク、再生回数稼いでおります。みなさんも見ましょう。

 

 

フォンテーヌ=噴水 ゲンジブ、フランス語多用しがち。

 

 

 

 

 

 

嘘から始まる自称系→チャコールグレー

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沼落ちきっかけになった曲その1。サビ前のギターの音めちゃくちゃかっこよくて、はじめて聴いたときのゾワゾワっとした感覚を思い出す。この曲、歌詞を噛み砕こうとしてもなかなか噛み砕けない。でも、強がっていながら本当は孤独で不安なんだろうなというイメージはあります。243.0は遭難信号だし、ルーザーなんて厭だとか、凋落とか、アイロニーとかシニカルとかプラス思考とは言えないワードのパレード。初披露時*3、「繊細さと力強さを併せ持った振り付けです」と紹介していたとおり、ガチガチの外面を剥がしたら脆い本当の姿が見えるような曲だなぁと。純粋で真っ直ぐな感情よりも、複雑な心情が見え隠れする皮肉とか理屈が好きな私にしっかり刺さりました。圧倒的闇属性の曲。

この曲のそういうひねくれたところに澱みのある色を想像。曖昧な色といえばグレー。そして要人くんの下ハモが良いスパイスになっていることから、紫みのあるチャコールグレーを思い浮かべました。歌声が立体的になる要人くんのハモりがすごく好きなこともゲンジブの推し要素であり彼を推しとした理由です。

思えば、シェイクスピアに学ぶ恋愛定理も理屈が先行しています。ラブソングって好きとか離れたくないとか、思い出の場所を訪れて君を思い出したとか、そういう感じたままの感情で構成されていることが大体なのに、スピ恋はなんとも分かりにくい。恋愛にまで理屈っぽいゲンジブ、面白い。

 

ところで自称系は好きな曲なだけあって、コレオも好きのてんこ盛りでした。現状定点で観察する術がないので初披露時に見つけた"好き"を羅列します。アーマジライブイキタイ。

①まず、イントロのジャカジャカで順番に振り返るところ。②サビの「胸中で疾うに腐ってんチャラララッラー」の手の動きとチャラララッラーに合わせたステップ。音ハメ大好き。③「超自我って自ら蔓延る事象系?」の手の動き。④「安心したいなんて」の凌大くん、足むっちゃ上がってたむっちゃ跳んでた。⑤「243.0無限大へ!」で前後が入れ替わるところ。⑥間奏の後半で前→後ろにステップしながら移動するところ、凌大くんバックキックステップの間のステップでむっちゃ跳んでた地面踏み鳴らしていた。⑦2番、「僕はきっと試作品かな」で肩を上下させながら下を見てアップダウンするところ。⑧2サビ前のブンブンブン!チャッチャッチャーンの要人くん。音に合わせて肩を軽く後ろに回すところはキレがあるし、チャッチャッチャーンで軽くジャンプしながら、しかもそのときロンデジャンブアンレール*4しながら跳んでいて、"音楽に乗っている"感じがすごく良かった。そしてなんといってもターンで顔がついていたところにバレエダンサーを感じて沸いた。*5⑨落ちサビのパートのあと、大サビへのフォーメーション移動の凌大くん動線が他のメンバーと重なったのか、移動しながら踊っているんです。「超身勝手」で体勢整ったかんじ。移動しつつ、いつも通り音に乗って踊る姿に惹き付けられました。超かっこよかった。

 

…と思いつく限り書きましたけれども、ピンポイントで印象に残ったメンバーの大半が凌大くんなんですよね。彼がパフォーマンスを牽引していると知りながら、他のメンバーを推した私ですが*6、さすがでした。凌大くんのスキルは言われているだけあるなと(誰目線?) 。現時点で生パフォーマンスを浴びる機会は用意されていませんが、そのときが来たら今まで知らなかった良さを発見できそうでわくわくしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘から始まる自称系から幽かな夜の夢までの色聴についてまとめました。1/13に1thアルバムである「多世界解釈」がリリースされ、さらに色聴で楽しむことができそうです。が、曲を聴いていて色が見えたとき、見えた色について別の視点から解釈する時間があるとき、それを文字に起こす時間があるときにやっとブログが書けるのです。私が一記事あげるのには相当の時間を要します……(実際、このブログは仮想げんじぶ空間case2の少し前から書き始めましたし。半年近く経ちました)。しばらくは1st2ndの記事を仕上げつつ、新曲をじっくり味わうこととします。

このシリーズが続くことと、彼らにとって飛躍の年になることを願って。

 

 

 

 

 

 

 

*1:現段階では武藤潤くん、吉澤要人くん、杢代和人くん

*2:列記11話 https://youtu.be/Y3j73jEZZ2o より

*3:仮想げんじぶ空間 case2にて

*4:膝を伸ばした状態で前から後ろに空中で半円を描くこと。バレエの技?のひとつ。

*5:バレエではターンをする際、ギリギリまで顔を前に向けたままで半回転し、体が後ろを向いた瞬間に首を回して素早く前を向く、「顔をつける」ことがすごく大事です。目が回りにくいことと見栄えの良さに関わります。該当箇所をスロー再生したら唯一要人くんが顔をつけていました。推しにバレエ経験者の片鱗を感じた同じく経験者の私、大歓喜

*6:パフォーマンスを担う素質を持つことを理由として推しがちな私ですが、現段階でげんじぶは例外